2003年4月、大鹿村の古民家は我々の家となりました~!!

友人M夫妻の福知山の古民家を見て衝撃をうけてから4ヵ月後に
我々も大鹿村の古民家を所有してしまったのですから、
こうなる運命だったのでしょうかね....
こうして犬連れ専用の宿を古民家で開業するための第一歩を踏み出したわけですが、
実はかなり不安な面もかかえておりました。
古民家を宿として開業することができるのか....
いったい「宿」として開業するためにどれくらい改築費用が必要なのか....
古民家を買ったはいいけれどこの後どれほど資金がいるのか、ということです。「古民家を宿にできるのか」については、
一応物件を購入する前に大鹿村役場へ問い合わせて、
村内の民家を宿泊業として営業して問題ないかどうか確認をしましたところ、
大鹿村の方では特に問題ないとの回答を得ておりまして、
実際大鹿村では「民泊」といって、農家の使われていない部屋を宿泊施設として提供する
小規模な宿が結構な戸数ありましたので、その時は簡単に一般の民家を宿泊業として
開業できるんだとばかり思い込んでしまいました....
これがとんだ落とし穴で、後々宿泊業の営業許可を取得するのに
大変な苦労をすることとなったのですが、これについてはまた後日詳しく書きたいと思います。
次に改築にかかる費用についてですが、
「古民家再生」に関する本などをいろいろ見ますと
本格的な古民家の再生で坪単価80万くらいが相場のようでした。
我が家の古民家の建坪は平屋で64坪ですから、
本格的な再生となると、なんと
5000万以上!!!
とてもとてもそんな費用は捻出できません~!!
そこで、福知山の古民家を改築した友人M夫妻に
どれくらい費用がかかったのか詳しく聞いてみることに。
M夫妻の古民家は例えば漆喰塗りに見える壁などは
ラスカットという合板にモルタルを塗りその上に漆喰を塗ったり、
無垢に見えた床板なども建築用の足場板を使ったりと
改築費をなるべく安く抑えるような工夫を随所に凝らして、
坪単価約40万ほどとのこと。
本格的な再生にかかる費用の約半分です。
それならばなんとかなるかもしれない...とようやく思えるようになりました。
宿を開業するときは「借り入れ」は無い状態で始めたかったので、
改築にかかる費用をざっと見積もり
サラリーマンで得られる収入の中から改築費用を捻出したとして
約4年後の2007年の春頃には開業できるかな~と大雑把な計画を立てました。
2007年春というのは丁度メルパパも勤続25年をクリアする年だったので
厚生年金の受給資格も得られ尚のこと都合がよかったのです。
4年後の開業を目標に、
東京で仕事を続けつつ
当面の間は週末の古民家暮しを満喫することにしました。

かつてこの家の住人の方々が団らんの時間を過ごしたであろう部屋でコタツに入りながら
この家の歴史をずっと見守ってきたケヤキの大黒柱を眺めては、
どんな人たちがどんな暮しを営んでいたのかを想像するのは本当に楽しいひと時でありました。
この後は改築前の古民家の様子を、
今となってはとっても懐かしい部屋の数々の写真をお見せしますね~。

改築前の台所です。
南側に大きな窓があり外の景色を眺めながら炊事ができました。
改築後も同じ場所を厨房とし、同じように外の景色を眺めながら調理できるよう
南側に窓も取り付けました。

土間部分には小さかったですがお風呂もあり、
薪で焚く風呂釜が付いていてもちろん使用可能でした。
この時に薪で焚くお風呂の魅力にすっかりハマり
現在でもプライベート用の風呂は薪で沸かしております。


西側には長い廊下があり、廊下からは和風の池のあるお庭を眺めることができました。

畳のお部屋です。
いかにも古民家~!という古い建具も残っており、
これは現在の囲炉裏の間で使用中です。
出来る限り毎週末都合をつけて、
片道5時間弱の道のりをせっせと大鹿村の古民家へと通いました。
今から思えば、改築工事が始まるまでの4ヶ月間の古民家暮しは
本当に貴重で楽しい時間でしたね!
さてさて6月に入りますと
大鹿村では夏休みの観光シーズン前にひと時の賑わいを見せます。
大池高原にある中村農園さんの青いケシの花が咲き始め
それを目当てに全国から観光客が押し寄せるのです。
一度大鹿の古民家をメルパパの両親にお見せする約束をしていましたので、
丁度青いケシが見頃を迎えた6月中頃に両親をお連れいたしました。

うちの古民家に泊まっていただき、
お風呂はせっかくだからと村内にある日帰り入浴のできる
「赤石荘」さんの温泉に入りに行きました。
ちょっとここで話が前後しますが、
古民家を購入する前に、大鹿村の中でも最も初めに「民泊」を始められた
「山村民泊たかやす」の伊東和美さんを訪ね、
宿泊業の許可取得について伺ったのですが、
伊東さんが許可を取得したのが十数年以上前とのことで
最近の宿泊業の許可取得の事情については
伊東さんちのすぐご近所でつい最近宿泊業の営業許可を取得した
Aさんに話を聞けば良いとアドバイスしていただきました。
そしてそのAさんの奥様はその当時赤石荘で配膳のお手伝いをやってらっしゃって、
両親を連れて赤石荘の温泉へ入りにいった時
もしかしてAさんの奥様がいらっしゃらないかしら....と期待をこめつつ
赤石荘の方に尋ねてみたら丁度出勤の日に当たっていて
ラッキーにもAさんの奥様にお会いすることができました。
まずは我々の事、大鹿村の古民家を買い取り、ゆくゆくは宿泊業をやりたいとお話し、
宿泊業の許可取得について、近々伺ってお話をお聞きしたい旨お伝えすると、
快諾してくださいました。
奥さまの話では、Aさんご夫婦は横浜からIターンで大鹿村に移住し、
Aさんの元大工という腕をもって譲り受けた古屋を解体一部移築して
Aさんがこつこつと1人で宿泊施設を建てたとのこと。
その移築再生した宿泊施設も良かったら見せてあげますよ、と
なんとも嬉しいお言葉をかけていただきました。
赤石荘でお風呂に入った翌日両親を連れて東京へ戻る時がやってきました。
これまた都合の良いことに、帰る道すがらちょうどAさんちの家の前を通るのです。
こりゃぁもうAさんちに寄っていくっきゃないでしょう~!!と、Aさんちの家のドアをノックしました。
「はぁ~い」というお返事のすぐあとドアが開き、
顔を覗かせた方は口ひげを蓄えた渋い感じのする男性でした。
これがうちの古民家再生工事を請け負っていただいたAさんとの最初の出会いだったのです!!To Be Continued...