岩魚の骨酒 

カテゴリ:相方Uさんの記事

岩魚の骨酒。

お客さまから手渡された魚籠のなかに氷がわりの雪がはいっていた。
その雪に埋もれて岩魚が3匹。
「どおします」
「骨酒に」
魚籠をもって厨房にゆき、岩魚をまな板に横たえた。
包丁は恐いほど切れる。念い入りに研いたばかりだから。
切っ先を肛門にいれ、顎の下へ真一文字。
返す包丁で下顎を切る。
それから、下顎をつかんでん、ひっぱる。内臓が筋肉から剥がれ、引き裂かれる。
血合を荒って、トレーに置き、用足しに。
厨房に戻ると、クーがこわばりながら言った。
「跳ねて、ここまで跳んだ」
岩魚の生命力を自分は知っているから、驚きもしないが、それはこれまでの想像を超えて遠くまで跳ねていた。
内臓のない岩魚が床でくねっていた。
岩魚をつかまえて、洗い、トレーへ。
「見張っていて」
「うん」
クーは岩魚が恐いのだろう。
命とは、生きたいものなのだ。

内臓も、血合も、すっかり綺麗になった岩魚をつかんで、串を入れる。
すると、岩魚はもんどりをうった。
かまわず、ぐいぐいと打つ。
岩魚は、やっと静かになった。
俺の闘いも、ひとまず、終わった。


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テーマ : 田舎暮らし日記 ジャンル : ライフ

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